作品解説
百舌鳥・古市古墳群ユネスコ世界遺産登録記念
吉田 初三郎 作
鳥瞰図『歴代御陵巡拝図絵』
完全復元版
神武天皇の御代より2700年、世界最長最古の王朝とされるわが国は、これらの長い歴史を大切にしてきました。
本作『歴代御陵巡拝図絵』は、「大正の広重」とも称された鳥瞰図の第一人者 吉田初三郎が、大胆なデフォルメのもと日本中の御陵を一枚に集約し描いた歴史的絵図です。
歴史的・文化的にも傑出した名作を貴重な現存品をもとに、90年の歳月を経て原寸大にて完全復刻。
大正から昭和にかけて1600枚を超えるといわれる鳥瞰図を描き、没後60年以上経た今なお愛好家たちに支持される稀代の絵師、吉田初三郎。大正2年に描いた「京阪電鉄御案内図」が、皇太子時代の昭和天皇に認められたことをきっかけに、本格的に「鳥瞰図画家」としての道を歩み始め、大正11年には皇太子の四国巡遊に随行し「東宮殿下行啓記念宇和島交通鳥瞰図」など、天皇家に縁のある数多くの名勝の鳥瞰図を描きました。
本作『歴代御陵巡拝図絵』は、昭和天皇の即位大礼で国中が奉祝ムードに沸いた昭和3年、「サンデー毎日」の付録として描かれたもので、歴代天皇の御陵を一目で巡拝できる貴重な絵図として蒐集家のみならず一般の人々もこぞって買い求めるなど大きな評判をよびました。また、自らの墓地を天智天皇陵にほど近い場所に用意するなど、人生を御陵とともに過ごした初三郎にとっても特別な意味を持つ本図の人気はその後も衰えることなく、長い間復刻が待たれていましたが、このたびきわめて状態の良い現存品をもとに、ついに復刻制作が実現。大胆なデフォルメとダイナミックな構図、細密に描き込まれた御陵の一つ一つ、心躍る美しく鮮明な色遣いなど、“鳥瞰図の第一人者”として絶賛された吉田初三郎の名作が、90年の時を経て原寸大にて甦りました。昨年には百舌鳥・古市古墳群が陵墓では初となるユネスコ世界遺産に登録され、その傑出した文化的歴史的価値が世界に認められました。ぜひこの機会にご愛蔵たまわりまして、吉田初三郎が歴史ある国に生まれた喜びを大いなる祝意とともに描ききった本作を末永くご鑑賞くださいませ。
“大正広重”吉田初三郎
初三郎の人生は、御陵とともにあった。京都にあった初三郎の自宅住所は、大正12年(1923)以来、「山科区御陵」であったし、71歳の生涯を閉じた後も、自ら眠る場所を天智天皇陵に程近い當麻寺の墓地(京都市山科区御陵)に用意した。画面右端中段の明治天皇伏見桃山陵の背後に、他より一層丁寧に描かれた天智天皇山科陵を見いだすことができる。本鳥瞰図が主題とした御陵の描写は、彼の重要な原風景のひとつであったと言えよう。(解説より抜粋)
堀田典裕(名古屋大学工学研究科助教・工学博士) |
作品詳細情報
品番 |
AR-YS01 |
作品名 |
鳥瞰図 『歴代御陵巡拝図絵』完全復刻版 |
作家名 |
吉田初三郎 |
作品仕様 |
美術印刷 |
用紙 |
版画用紙 |
画寸 |
25×107cm |
用紙 |
越前和紙 |
限定制作 |
100部 |
額寸 |
37.5×122.5cm |
額縁 |
特製木製額 |
証明 |
発行元による奥付シール |
解説 |
堀田典裕(名古屋大学工学研究科助教・工学博士) |
付録 |
巡拝順路説明書 |
原本所蔵 |
国際日本文化研究センター |
発行 |
株式会社方丈堂出版 |
納期 |
※受付後2〜3週間前後(納期のご質問・ご要望等承ります。) |