作品解説
●原画所蔵/京都国立近代美術館
●著作権者承認印・限定番号入り
●彩美版(R)、シルクスクリーン手刷り・プラチナ泥使用
『舞妓』 文化勲章受章 小倉遊亀
純真可憐な舞妓のなかに仏心を見た、小倉遊亀畢生の名作
日本画の伝統を活かしながら、近代的で親しみやすい芸術世界を創造し、女流画家として二人目となる文化勲章受章の栄誉に輝いた小倉遊亀画伯。女性、静物、子どもなどあらゆるもののなかに仏を感じ、高い精神性をもって表現された作品群は、今なお観る者の心に安らぎと活力を与え続けています。
本作『舞妓』は、昭和44年第54回院展に出品され、師・安田靫彦画伯も絶賛した小倉芸術円熟期を代表する名作中の名作です。来君(らいきみ)という名の、まだあどけなさの残る舞妓の真剣な眼差しと威厳を正した佇まいに、純真無垢な仏心を見た小倉画伯。作品からは、仏への限りない憧憬と、華やかでありながら静謐で大きな包容力が感じられます。
徹底的に追求された余白が映す神々しさと絢爛の美
やわらかな薄紅色に貝づくしの文様があしらわれた着物、絢爛たる金糸の亀甲文様の帯。艶やかな黒髪に揺れる髪飾り_美しく着飾った舞妓を坐らせる空間には入念に塗り重ねられた美しい余白が用意され、可憐で華やかな舞妓の存在感を際立たせ、神々しさすら漂わせています。小倉芸術の大きな特徴に、徹底して計算された余白の美があります。本作においてもその思い入れは深く、実に200回以上にもおよぶ作業を繰り返し、無限のひろがりを感じさせる美しい空間が表出されています。
繊細な筆致と鮮やかな色彩_小倉芸術の真髄を余すところなく再現
この小倉遊亀円熟期の名作を著作権者による厳正なご監修のもと、高精細な絵画複製技術とプラチナ泥を惜しみなく用いたシルクスクリーンにより、日本画独特の質感、濃淡の深みなどはもとより、小倉画伯がこだわりぬいた美しく深みのある余白までも見事に再現いたしました。ぜひこの機会にご愛蔵賜わりまして、清新で心あたたまる小倉遊亀芸術の粋をお手元で存分にご鑑賞ください。
『舞妓』について
小倉遊亀は、生涯にわたり女性肖像の名作を、何点も世にのこした。しかしこれらを肖像画と呼ぶには語弊がある。とくにこの《舞妓》には、仏画としての画家の思いが込められている。
作品の来君はまっすぐな目線を画面の外に投げかけている。その表情からは、少女のドキドキした心臓の音が聞こえてくるようであり、一方遙か遠くを見据えたまなざしには大きな包容力も感じさせる。初々しい、心洗われる清新な仏画となった。
来君のバックにも目をむけてほしい。遊亀には「この白、宇宙も世間もみな呑んだ白でなくちゃならぬ。壁のような白ではダメ。無限のひろがりをもった、すべての形も色も呑んだ白でなくちゃならぬ。伸縮自在の動いた白でなくてはならぬ」との余白への思いがあった。
めったに誉めない師の安田靫彦も、これには賛辞をくれた。
遊亀は入門のころ靫彦に「一枚の葉っぱが手に入ったら、宇宙全体が手に入る」と諭されたが、これをずっと心に籠め、ここまで、宇宙を掌中にする目標に近づき得たのが、この《舞妓》であった。(解説より抜粋)
國賀由美子(大谷大学教授) |
作品詳細情報
品番 |
AR-OY62 |
作品名 |
舞妓 |
作家名 |
小倉遊亀 |
技法 |
彩美版(R)・シルクスクリーン手刷り、プラチナ泥一部使用 |
用紙 |
版画用紙 |
画寸 |
45.5×38.3cm |
額寸 |
65.5×58.3cm |
額縁 |
特注木製額金泥仕上げ、金箔面金付き布マット |
監修 |
有限会社鉄樹 |
解説 |
國賀由美子(大谷大学教授) |
原画所蔵 |
京都国立近代美術館 |
証明 |
著作権者承認印を奥付と画面左下部に押印 |
限定部数 |
200部 |
発行 |
共同印刷(株) |
納期 |
受付後1〜3週間前後
(納期のご質問・ご要望等承ります。) |
作家プロフィール
1917年 奈良女子高等師範学校卒業。
1920年 安田靫彦に師事。
1938年 小倉鉄樹と結婚。
1969年 『舞妓』を制作、再興第54回院展に出品。
1978年 文化功労者として顕彰される。
1980年 文化勲章受章。
1996年 日本美術院名誉理事長に就任。
1999年 パリの三越エトワールで「小倉遊亀」を開催。
2000年 逝去。享年105。